■第5話

肉眼ではもっと大きい。


東の空に満月。

 分母庵は山間にあります。周囲は山の稜線が続いていますが、東の方に目を向けると空が広がって遠くの山塊を望むことができます。天気の良い朝、太陽はその山の向こうから上がって、やがて眼前の谷を徐々に照らしていきます。季節によって、光は角度を変え、長くなったり、短くなったりしながら、わが住まいを照らしてくれるのです。
 一方、陽が家裏の五太山(ごんたやま)に隠れると、それを待っていたかのように、東の空に月が静かに現れます。どの月齢でも、それなりの味わいがあるのですが、満月の前後に大きく浮かぶ月は、ときにオレンジに染まったりして、格別の風情を漂わせます。なんとか美しい写真を撮りたいと思いつつ
、いまだにうまくいきません。

(2010年3月1日 分母庵亭主)